「WHYから始めよ! 」を読んでみて思うこと
はじめに
「WHYから始めよ」を読んだきっかけはThe Agile Guild の定例会で、なぜコミュニティに参加しているのかという問いを投げかけられたことであった。私は「価値のあるものを生み出したいから」と答えたものの、きちんと整理できていなかったため、もやもやしていた。 そこで以前紹介されたこの書籍を手に取った。
本記事では組織の一人として感じたこととエンジニアの一人として感じたこと、二つをまとめていく。 (注: 書籍についてはあまりふれません)
- 作者: サイモン・シネック,栗木さつき
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/01/25
- メディア: 単行本
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書籍について
本書籍はTEDで公開された講演内容をもとにまとめられている。
ログミーにもまとめられているので、英語に弱い私でも理解できた。
本記事で気になったらぜひ読んで、見てほしい。
組織の一人として
WHYがない現場
以前より仕事で採用に関わることが増えてきた。
そこで気づいた問題は誰を採用するのか、この人は採用基準に満たしているのかを判断できる軸がないことである。
各々の中では採用基準があり、面接する上ですり合わせも行う。しかし、企業に明確なWHYがあれば面接官の間で基準が大きくブレることはないと思う。
似たような問題はあらゆるところでみられる。
受託開発のプロジェクトでいえば、エンジニアがなぜプロダクトを開発しているのかわかならい。
これは顧客の中のWHYを明確にし、何を作れば良いかを下ろしていく活動が不足しているためである。
評価の場合は、自分に付けられた評価の納得感がえられにくくなる。
基準が明確ではないため、評価基準が上司に強く依存してしまうからだ。
これらからWHYは企業の中で一つの基準となるものであると考えられる。
WHYがないと各所で下す決断、作る製品つまりWHATがぶれてしまい一貫性がなくなってしまうと感じた。
WHYを得るためにはどうすれば良いか
例え、組織のトップが明晰なWHYを持っていたとしても組織が大きく、WHYを伝えるHOWがなければ社員に広がらない。 そもそもCEOにWHYがなければ得ることはできない。
WHYがない状況で、エンジニアチームにできることはあるのだろうか。 私は自分たちでWHYを見つけ、広げていくしかないと思う。明確なWHYを見つけ、興味のある人に伝えていきたい。
エンジニアの一人として
エンジニアの役割
WHYからWHATまでの流れをプロダクト開発に当てはめて考えてみる。
WHYはマーケターや顧客(受託開発の場合)のようなプロダクトオーナーが考え、プロダクトバックログとして具体化する。エンジニアはプロダクトバックログをもとに開発して、WHYを実現するWHATの役割になる。
そのためエンジニアは正確かつ素早くプロダクトを実現することにコミットする。役割が明確で集中できるが、WHATに特化することがプロダクトのために最大限の価値を出しているのだろうか。
プロダクトの限界
私は(自分含めて)エンジニアがWHATに特化してしまうとタスク消化に追われやすくなるのではないかと感じる。 この場合消化以上のことをしないとプロダクトバックログがプロダクトの成長の上限となってしまう。
そもそもプロダクト開発は開始当初において不確実性が高く、不十分な情報の中かから作るものを決めている。 そのため、開発が進むにつれてわかることが多く、最初に策定したプロダクトバックログを変えていく必要が生まれることがある。
スクラムではそのためにスプリントレビューをしてプロダクトオーナーが修正していくものであると思っていたが、それでもプロダクトオーナーの裁量が上限となってしまう。 本当に価値あるものを作るためにはエンジニアもWHYの視点に立って開発することが求められるのではないか。
WHYと向き合う開発
そこで、ある案件でエンジニアとしての役割を持ちつつ、自分にWHYの視点を入れようとした。
よりよい開発になるとわかっているが、実践しようと思うととても難しい。そもそも書籍内にもある通り使う頭の機能が異なるように感じる。
私が試したときは時間を区切って頭を切り替える必要があった。 開発しているときは詳細の目で一切のブレも許さず正確に手を動かしていく。 ユーザー目線に立つときは俯瞰の目でユーザーの思考を想起させながら作っているものを触り、欲しい機能や修正したいポイントをプロダクトバックログに積んでいく。 この開発を全員とは言わず、一部エンジニアが取り組むだけでプロダクトは大きく変わるのではないかと思うし取り組んでいきたい。
まとめ
- 「WHYからはじめよ!」をよんだ
- 組織にWHYがないとどうなるかを思考してみた
- エンジニアとしてWHYの視点を持つことの重要性を感じた